根拠に基づく科学的介護を導入することで、介護事業者は業務改善を検討することができますし、要介護者が自らに残されている身体能力を活かすための介護を選択検討ができるようになります。要介護者主体の「介護方針」が検討できるようになり、双方にとって負担が少ない介護ができるようになることがメリットです。
科学的介護の情報は、科学的介護情報システムである通称「LIFE」を利用することで事業者単位での情報共有が可能になります。これまでのCHISEと呼ばれる介護情報システムと、通所・訪問リハビリのデータベースだったVISITとを統合し情報を一元化させたシステムで、2021年度より運用開始されました。事業所全体の8割以上がLIFEの導入を進めており、多くの事業所間で情報共有ができるようになりました。
LIFEの運用から時間が経過し、介護業界には何らかの変化が生まれたのでしょうか。LIFEのシステムは日々アップデートがなされており、システムの使いやすさについて向上が見込まれています。しかし、データの入力作業の煩雑さがあり、利用者である事業者レベルでの使いやすさの向上は今後も課題となっているようです。
また、「事業所レベルで利用できるデータ量に乏しい」という声もあります。介護事業といっても、それぞれに特色や差別化を持たせているため「自事業所の特色に即した情報が引き出せない」という声もありました。結果的に、介護現場の業務負担がかさんだだけだと結論付ける事業所もありますが、今後の情報の蓄積によって働き方改革などにつながることでしょう。